歯の黄ばみ、着色について

歯の色について

歯の色には元々個人差があります。

歯の表層にあるエナメル質は半透明なので、歯の色は、その内側にある象牙質の色が透けて見えているものです。元々の象牙質とエナメル質の個人差が歯の色の違いとなってあらわれます。

 

永久歯は乳歯に比べて象牙質が厚いため、黄色く見えます。

「新しく生えてきた歯が黄色いんです」

と心配されるお母様がいらっしゃいますが、問題ありません。全ての歯が永久歯になれば気にならなくならなくなることが多いです。

 

また、歯の色は加齢とともに徐々に濃くなる傾向があります。これは最表層のエナメル質の結晶透明度が上がったり、エナメル質が歯ブラシや薄くなったり、咬み合わせの部分が噛む力で削れたり、亀裂が生じるために、内側の象牙質の色がいちだんと透けて濃く見えてくるためです。

歯の黄ばみ・着色の原因

大きく分けて、外因性の着色と内因性の変色があります。

 

外因性の着色について

外因性の着色の原因となる食べ物

*歯の色を変える原因「着色」は、食べ物や飲み物や、嗜好品によって歯の表面に汚れが付着することによっておこります。

 

着色を起こしやすいもの

・コーヒー

・お茶

・赤ワイン

・カレー

・漢方薬

・ぶどう、ほしぶどう、ベリー系 

・たばこ

 

*プラスチック(コンポジットレジン)で治療した部分は初めは綺麗ですが時間の経過とともに、変色していきます

 

歯の黄ばみ、着色
象牙質が露出した部分が黄色くみえています

*表層のエナメル質が削れ象牙質が露出している

着色とはすこし違いますが、外因性原因による変色です。

特に歯ぎしりがあるひとやすっぱいものが好きな人にはおこりやすいです。

加齢とともに、生理的にエナメル質が薄くなる場合にも同様のことがおこります。

 

 

 

内因性の変色について

歯の黄ばみ、着色

内因性の「変色」とは、歯そのものの色が変わってくることを言います。

 

歯が生えてから変色をおこすもの

*虫歯による白斑、茶褐色~黒変。

*神経が死んでしまった歯(失活歯)は黒っぽく変色することがあります。 

歯の形成時期(生える前)に変色を起こすもの

*テトラサイクリン系抗生物質の服用

象牙質に茶褐~灰色の色素沈着を起こす、薬の服用期間によって、部分~歯全体が変色します。

*エナメル質形成不全

エナメル質の形成が悪いために白~茶褐色になります。

乳歯に打撲や虫歯があって生える前の永久歯におこる局所的要因のもの。

ホルモン異常、栄養障害、フッ素の過剰摂取など全身的な要因によっておこることもあります。まれに遺伝によっておこることもあります。

*象牙質形成不全

透明度の高いオパール様の色(灰紫で強い透明感)になります。

まれな、遺伝子疾患です。

 

 

 

歯の黄ばみ、着色の予防

着色しやすい食べ物飲み物

「着色しやすい食品やたばこをやめてしまえばいい」

・・・とはいかないものです。

では、どうすれば着色がつきにくくなるかというと、

歯の表面をできるだけツルツルにすることです。

そのためには、以下のことに注意しましょう。

 

①研磨剤の入った歯磨き粉を使用してゴシゴシ磨かない!

 着色をとりたくて、ごしごし磨いてしまうと思いますが、着色もとれますが同時に歯のエナメル質を削って凸凹にしてしまうのです。

 すると、いったんはきれいになったように見えますが、ますます汚れが付きやすくなり悪循環になります。

 低研磨性の研磨剤を使用して丁寧に磨きましょう。

 

アパガードリナメル

②歯の表面を硬く(石灰化)する

初期虫歯があると歯の表面がざらざらしてくるため汚れがつきやすくなります、歯磨き粉としてアパガードリナメルを使用したり、フッ素を活用して歯の表面を石灰化させましょう。

 歯磨き粉の選び方についてはこちらへ

 

③電動歯ブラシを使用する

電動歯ブラシは歯の表面を削ることなく歯垢除去効果が高いため、歯がツルツルになります。ちなみに電動歯ブラシを使用する場合には一般の歯磨き粉は使用しないでください。

 電動歯ブラシについて詳しくはこちらへ

歯の黄ばみ着色の予防

④定期的に歯科医院でクリーニングしてもらう

特にタバコによる着色は油性のため、電動歯ブラシでもなかなかとれにくいです。

歯科医院で機械をつかって表面をツルツルにしてもらいましょう!

 

⑤鼻で息をする

一般的に口で呼吸している人はお口の中が乾燥するため、着色はつきやすくとれにくくなります。なるべく鼻で息をする習慣をつけましょう。

 

 

歯の黄ばみ、着色の治療

①虫歯治療

②神経の治療・失活歯の漂白

③かぶせる治療

④セラミック治療

⑤オフィスホワイトニング

⑥ホームホワイトニング

⑦PMTC

①虫歯治療

歯の黄ばみ着色の治療

適切な虫歯治療を行う

 

初期虫歯で白くなっているところは、アパガードリナメルやフッ素を使用してなるべく石灰化していきましょう。

 

虫歯は治療するしかありませんが、治療後のつめものの周りの凸凹が着色している場合には研磨すればきれいになることもあります。

 

プラスチック(コンポジットレジン)で治療した部分は初めは綺麗ですが時間の経過とともに、変色していくため、気になる場合には再治療の必要があります。

 

 

②神経の治療、失活歯の漂白

歯の黄ばみ着色の治療 神経の治療

・適切な神経の治療を行う。

 

ハリセンボンの箕輪はるかさんが「神経がしんでるんです」ってネタにしてますよね。

隣の歯と比較するとそこだけ違う色をしている場合は神経が死んでいる失活歯(しっかつし)であることが多いです。

 

虫歯が深くて神経が死んで(失活)、歯が変色することが多いですが、 虫歯がなくても歯を強くぶつけたことがある場合には神経が死んで変色することがあります。

どちらにしても神経の処置が必要です。

 

神経の処置をすることで、きれいになることもありますが、ならない場合もあります。そんな場合に、失活歯(神経の死んだ歯)の漂白法というのがあります。

(先生によっては、神経の処置を行った歯は必ずかぶせる治療を行う方もいらっしゃいます。その場合は漂白せず、かぶせの治療に移行してもきれいになります。お子さんの場合などを除いて、神経の処置後はかぶせの治療を行うことが一般的です。)

 

歯のきばみ着色の治療 漂白

 失活歯の漂白法

歯の中に漂白剤を入れてふたをします。

 

そのままおうちに帰宅して1週間ほど過ごしてもらうウォーキングブリーチ法と、病院にいる間だけ漂白剤を入れておくインターナルブリーチ法があります。

どちらも何度か薬剤を交換して漂白することによって白くしていきます。

 

日本ではウォーキングブリーチ法が2006年まで健康保険が適用されていたため一般的でした。現在では保険適応外となったため、ふたがとれて薬剤がもれるなどのトラブルがないインターナルブリーチ法をやる医院も増えているようです。

 

ただし、いったん白くなった歯も再び変色していくことが多いです。

 

 

③かぶせる治療

・神経の処置をしても、変色したままであったり、神経の処置後徐々に変色してしまうことがあります。 こういう場合には歯全体を覆う、かぶせる治療を行います。

(注:②の神経の治療のところにも書きましたが、神経の処置後はかぶせの治療を行うことも一般的です)

歯の黄ばみ着色の治療 かぶせ

 

・テトラサイクリン変色は程度にもよりますが、表面からのホワイトニングを行ってどうしても満足できない場合かぶせる治療を行うことがあります。

 

・エナメル質形成不全の程度がひどい場合にもかぶせの治療を行うことがあります。形成不全にはホワイトニングは行えません

 

かぶせの治療ですが、日本で保険治療で行う場合は使用する材料が決まっています。前歯はプラスチックと金属(場合によってはプラスチックのみ)、臼歯は金属だけです。

 

見た目が気になる方は④のセラミック治療についても参考にして下さい。

 

④セラミック治療

歯の黄ばみ着色について セラミック治療
変色してきたプラスチックの歯

 日本の保険治療で使われるプラスチック(コンポジットレジン)で治療した部分は、はじめは綺麗ですが時間の経過とともに、変色していきます。

また、材料に透明感がないため、周りの歯に比べると違う色のような印象を与えてしまいます。

 

現在保険適応はプラスチックを使用したものだけですが、自費治療の場合、陶器(セラミック)の材料で治療ができます

プラスチックと陶器の容器を思い浮かべた時に、きれいな色で長持ちするのは陶器だとイメージできると思います。

(陶器は色がついても漂白で元通りになりますが、プラスチックは黄色いままですよね…あとプラスチックのお弁当箱はずっと使っているとなんかざらざらしてきます)

 

また、セラミックの場合透明度もあるため、歯のエナメル質の透明感を再現することができ、周りの歯と比べて違和感がありません。

 

見た目を自然に見せたい場合には、セラミックでの治療をおすすめします。

(必要金額は各歯科医院によって異なるため問い合わせてみて下さい)

 

 

⑤オフィスホワイトニング

歯の黄ばみ着色の治療 オフィスホワイトニング

オフィスホワイトニングとは、歯科医院で高濃度のホワイトニング薬液を歯に塗布し、レーザーやLEDなどを当てて薬液の効果を高めて歯を白くしていく方法です。

 

医院によって使用する薬剤や当てる光は異なります。

白くなりやすさには個人差があり、数回かけて白くしていきます。

(テトラサイクリンなどの薬剤によって変色している場合には回数がかかることも多く、ご希望の白さには至らないこともあります)

後戻りのしやすさにも個人差があります。またホワイトニング中は、着色しやすい食品の摂取は控える必要があります。

  (着色しやすい食品についてはコチラへ)

知覚過敏の症状がでることがあります。

 

オフィスホワイトニングの手順

歯茎を保護する薬をぬっていきます。

オフィスホワイトニングの手順②

ホワイトニングの薬を歯にぬります

オフィスホワイトニングの手順③

特殊な光を当てて、薬の効果を高めます


オフィスホワイトニング

オフィスホワイトニングできない場合

・光過敏症、光てんかんの人などの持病がある場合(光を当てるため)

・紫外線アレルギーや膠原病の方など、太陽に当たることができない方

 (一部の機械は近紫外線を含んでいるため)

 

よく呼吸器系に問題のある方もできないと書かれていますが、口を長時間開けて鼻で呼吸してもらいたいからだと思います。

 

 

⑥ホームホワイトニング

ホームホワイトニング

ホームホワイトニングはホワイトニング剤を入れるマウスピース作製し、自宅で行うホワイトニングのことです。オフィスホワイトニングより低濃度の薬剤を使用します。

 

白くなりやすさには個人差がありますが、一日2時間を目安に数週間~数カ月間かけて白くしていきます。

以下は、オフィスホワイトニングと同様ですが、

後戻りのしやすさにも個人差があります。またホワイトニング期間中は、着色しやすい食品の摂取は控える必要があります。

  (着色しやすい食品についてはコチラへ)

知覚過敏の症状がでることがあります。

ホームホワイトニングできない場合
ホワイトスポット(白斑)

 

ホームホワイトニングできない場合

・虫歯がある人

・ホワイトスポット(白斑)が気になる人

・短期間で白くしたい人

・コーヒーなどの着色しやすい嗜好品を我慢できない人

・すでに知覚過敏のある人

 

虫歯の部分はホワイトニングの薬剤によってしみたり悪化するため、虫歯を治してからの治療になります。

ホワイトスポットは、ホワイトニングによって白さが目立つようになるため、ホームホワイトニングはおすすめしません。オフィスホワイトニングの場合は、スポットを避けて薬剤を塗布できるため、ホワイトニング可能です。

結婚式や写真撮影など、イベントまでの短期間で白くしたい人にはオフィスホワイトニングの方がおすすめです。

 

 

⑦PMTC

歯の黄ばみ着色の治療 PMTC

歯の変色はPMTCではきれいになりませんが、外来性の色素沈着はきれいになります。

 

また、歯の表面がツルツルになるためプラークもつき難くなります。虫歯予防・歯周病予防にもなります。

なにより気持ちがいい!!ごはんがおいしくなりますよ。

 

PMTCについて過去のブログはこちら

PMTC前 外来性の着色がついています
PMTC前 外来性の着色がついています
PMTC後 ピカピカです!
PMTC後 ピカピカです!